用益物権

用益物権 用益物権

用益物権とは、他人の土地を一定の範囲で、使用・収益することができる権利のことです。
たとえば、他人の土地に建物を建てて住んだり、他人の土地に畑を作って耕作する場合などに利用する権利です。

用益物権は、「所有権」と違って、限られた範囲での使用権ですので、「制限物権」とも呼ばれています。

今回の記事は、この「用益物権」について、イラスト図解付きでわかりやすく解説しています。

00 用益物権の種類

用益物権の種類としては、次の4つです。

地上権 他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利のことです。
永小作権 小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利のことです。
地役権 他人の土地を自己の土地の便益に供する権利のことです。
入会権(いりあいけん) 一定の地域住民が、山林原野を共同管理し、収益する権利です。

ここでは、上記4つの用益物権のうち、「地上権」「永小作権」「地役権」についてをわかりやすく解説しています。
 ※入会権(いりあいけん)については、ほとんど出題実績もないので省略しています。

01 地上権

地上権-建物・橋・トンネル・竹木を所有するための土地を使用する権利

地上権とは、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利のことです。
そして、工作物には、建物・橋・トンネルなどがあります。

a.借地借家法の適用

地上権が「建物所有」が目的の場合には、「借地権」と呼ばれ、借地借家法の適用を受けます。
「借地権」は、「土地を建物所有目的で使用する権利」ということで、地上権の他に、賃借権があります。

【借地権(借地借家法の適用を受ける)】
・土地を建物所有目的で使用する「地上権」←物権
・土地を建物所有目的で使用する「賃借権」←債権

「地上権」は『物権』ですが、「賃借権」については、『債権』になります。
『物権』は物に対する権利で、『債権』は人に対する権利です。

>>『抵当権Ⅱ 法定地上権』へ戻る

>>『債権/貸借型契約Ⅱ-賃貸借契約/不動産賃借権の物権化/借地権』へ戻る

b.区分地上権

区分地上権

地上権はシンプルに土地の使用権ですが、上下の範囲を定めた地下や空間の使用権を区分地上権といいます。

たとえば、他人の土地の上の空間を利用してモノレールを通すとか、他人の土地の地下を利用して地下鉄を通す等が、区分地上権です。

02 永小作権

永小作権

永小作権とは、小作料を支払って他人の土地で耕作又は牧畜をする権利のことです。
地上権との違いは、「小作料を支払わなければならない」という点ですが、性質は地上権と似ています。

03 地役権

通行地役権

地役権とは、「他人の土地」を、「自己の土地の便益」に供する権利のことです。
「地役権」の中で代表的なものには、「通行地役権」があります。
Bが、Aの土地の「通行地役権」を設定を受ければ、Aの土地を通ることができるようになります。

「他人の土地」・・・地役権が設定された他人の土地を『承役地』といいます。
「自己の土地の便益」・・・地役権の便益を受ける自己の土地を『要役地』といいます。
 

承役地』は、他人の土地の”便益を承諾した側の土地”ということで、承役地
要役地』は、自己の土地の”便益を必要とする側の土地”ということで、要役地
と覚えてください。

a.要役地・承役地の移転

地役権を設定した後に、「要役地の所有権が移転した」場合や、「承役地の所有権が移転した」場合についてを解説します。

【要役地の所有権が移転した】
→要役地の所有者Bが、Cに土地を売却し、要役地の所有者がCになった。
【承役地の所有権が移転した】
→承役地の所有者Aが、Dに土地を売却し、承役地の所有者がDになった。
この2つのパターンについて、くわしく解説します。

要役地の所有権が移転した

1⃣要役地の所有者Bが、土地をCに売却し、要役地の所有者はCになりました。
要役地の所有権が移転した
2⃣要役地を買い受けたCは、「所有権移転登記」をすれば、「地役権の登記」が無くても、承役地所有者Aに、通行地役権を主張できます。
要役地を買い受けたCは、「所有権移転登記」をすれば、「地役権の登記」が無くても、承役地所有者Aに、通行地役権を主張できる
Cは、要役地の「所有権移転登記」があれば、「地役権の登記」が無くても、承役地の所有者Aに、通行地役権を主張できます。

「隣地通行権」は、所有権の登記が無くても、主張できたことと比較して、覚えてください。
「隣地通行権」についてくわしくは、下記のリンクからどうぞ▼

承役地の所有権が移転した

1⃣承役地の所有者Aが、Dに土地を売却し、承役地の所有者がDになりました。
ちなみに、Bは「地役権の登記」をしていませんでした。
承役地の所有者Aが、Dに土地を売却し、承役地の所有者がDになった
2⃣Bは、「地役権の登記」がなければ、原則として、承役地の新しい所有者Dに、これまで通りの通行地役権を主張することはできません。
Bは、「地役権の登記」がなければ、原則として、承役地の新しい所有者Dに、これまで通りの通行地役権を主張することはできない

「地役権の登記」がなかったのだから、DがAから承役地を買い受けるときに、「これから買う土地には、地役権がくっついている」ということに、気付けないからニャ。


もしかしたら、Dは、「通行地役権なんかが付いている土地だったら、買わない!」となってたかもしれないニャ。
だから、地役権を登記してないのに、後から地役権を主張するのは、フェアじゃないのニャ。

Bは、「地役権の登記」がなければ、原則として、承役地の新しい所有者Dに、これまで通りの通行地役権を主張することはできません。
ただ、Bの「地役権の登記」がない場合でも、Bが通路を開設するなど、日常的にBがAの土地を通行していることが、外形上(普段の見た目)からも「新しい所有者D」が認識していたのなら、通行地役権が認められます。

b.地役権の時効取得

地役権は、時効によっても取得することができます。
地役権の時効取得の要件としては、

●継続的に行使され、かつ、外形上(普段の見た目)からも認識できるものに限られます。
●その「継続的に行使」といえるためには、要役地の所有者によって、通路を開設していることが必要です。


土地の共有者の一人が時効によって地役権を取得した場合には、次のようなルールがあります。

●地役権の時効取得は、継続的に行使され、かつ、外形上(普段の見た目)からも認識できるものに限られます。
●共有地の共有者の一人が、時効によって地役権を取得すると、他の共有者も、地役権を取得することになります。
●共有者に対する時効の更新・完成猶予は、共有者全員について生じなければ、効力を生じません。

所有権の取得時効について、くわしく知りたい方はこちらのリンクからどうぞ▼

時効の更新・完成猶予について、くわしく知りたい方はこちらのリンクからどうぞ▼

共有者の一人が地役権を時効取得した場合の他の共有者

1⃣BとCは、要役地の所有権を共有していました。
そして、Bは、Aの土地上に通路を開設し、継続的に通行し、それは外形上からも認識できるものでしたが、BもCも、地役権じたいは、有していませんでした。
BとCは、要役地の所有権を共有していました。
そして、Bは、Aの土地上に通路を開設し、継続的に通行し、それは外形上からも認識できるものでしたが、BもCも、地役権じたいは、有していませんでした。
2⃣Bは、Aの土地を継続的に通行し、20年の時効取得が完成しました。
共有者の一人Bが通行地役権を時効取得すると、他方の共有者Cも時効取得できます。
Bは、Aの土地を継続的に通行し、20年の時効取得が完成しました。
共有者の一人Bが通行地役権を時効取得すると、他方の共有者Cも時効取得できます。

承役地の所有者がする共有者の一人に時効の完成猶予・更新手続き

1⃣承役地の所有者Aが、要役地の共有者の一人Bに対して、時効の完成を阻止するため、時効の完成猶予や時効の更新の手続きを取りました。
承役地の所有者Aが、要役地の共有者の一人Bに対して、時効の完成を阻止するため、時効の完成猶予や時効の更新の手続きを取りました。
2⃣この場合に、要役地の他方共有者Cに対しては、効力は生じません。
要役地の他方共有者Cに対しては、効力は生じません。

基本的に、通行地役権は、時効取得しやすいベクトルに向いていると思ってください。

以上、用益物権についての、

00 用益物権の種類
01 地上権
 a.借地借家法の適用
 b.区分地上権
02 永小作権
03 地役権
 a.要役地・承役地の移転
  要役地の所有権が移転した
  承役地の所有権が移転した
 b.地役権の時効取得
  共有者の一人が地役権を時効取得した場合の他の共有者
  承役地の所有者がする共有者の一人に時効の完成猶予・更新手続き
・・・でした。お疲れ様でした。
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