今回の記事は、不動産物権変動Ⅲとして、
a.時効完成時の元の所有者
b.時効完成前の第三者
c.時効完成後の第三者
02 相続・遺産分割と登記
a.相続と登記
b.遺産分割と登記
「不動産物権変動」については、この記事以外に、ⅠとⅡがあります。
物権変動と登記,177条の第三者
取消しと登記,解除と登記
01 取得時効と登記
「時効取得の制度」とは、たとえば、Aが所有する不動産をBが20年間ずっと占有していたとします。
すると、Bはその不動産を時効取得することができるという制度のことです。
不動産を時効取得した場合にも、物権変動は起こります。
この「取得時効と登記」について、
b.時効完成前の第三者
c.時効完成後の第三者
「取得時効」について、詳しく知りたい方は次のリンクからどうぞ▼
a.時効完成時の元の所有者
不動産を時効取得した場合に物権変動が起こり、
・時効の完成により不動産を取得した「占有者」
・・・の二者の関係について、イラスト図解付きでわかりやすく解説します。
![不動産物権変動-取得時効と登記①Aの土地にBが20年間占有し続けていた。](https://gyouseishoshi-gokaku.online/wp-content/uploads/2023/03/bukkenhen-shutokujikou-01.png)
![不動産物権変動-取得時効と登記②占有者Bは、登記なくして元の所有者Aに対抗できる](https://gyouseishoshi-gokaku.online/wp-content/uploads/2023/03/bukkenhen-shutokujikou-02-1024x649.jpg)
![](https://gyouseishoshi-gokaku.online/wp-content/uploads/2023/03/su-tunyanko01.png)
土地を時効により取得した占有者Bは、元の所有者Aに対し、登記なくして所有権を対抗できます。
b.時効完成前の第三者
不動産を時効取得した場合に物権変動が起こり、そこに第三者が絡んでいた場合に、
・時効の完成により不動産を時効取得できる状態の「占有者」
・・・の二者の関係について、イラスト図解付きでわかりやすく解説します。
![土地の所有者Aが、第三者Cに土地を売却した後、占有者Bがこの土地の所有権を時効により取得しました。](https://gyouseishoshi-gokaku.online/wp-content/uploads/2023/03/jikoukanseimae-daisansha-01.png)
![土地を時効により取得した占有者Bは、取得時効が完成する前に譲り受けたCに対し、登記なくして所有権を主張できます。](https://gyouseishoshi-gokaku.online/wp-content/uploads/2023/03/jikoukanseimae-daisansha-02.png)
![](https://gyouseishoshi-gokaku.online/wp-content/uploads/2023/03/su-tunyanko01.png)
時効取得者Bが、時効完成前の第三者Cから土地を譲り受けたのと、同視できるので、Bは登記なくして所有権を対抗できるわけです。
c.時効完成後の第三者
不動産を時効取得した場合に物権変動が起こり、そこに第三者が絡んでいた場合に、
・時効完成後に、元の所有者から「不動産を購入した第三者」
・・・の二者の関係について、イラスト図解付きでわかりやすく解説します。
![1⃣占有者Bが「A所有の土地」の所有権を時効により取得した後、Bがその登記をしない間に、元の所有者Aがこの土地を第三者Cに売却した](https://gyouseishoshi-gokaku.online/wp-content/uploads/2023/04/jikoushutoku-kanseigo-01.png)
![土地を時効により取得した占有者Bは、時効完成後に土地を譲り受けたCに対して、登記がなければ、時効取得をもって対抗することはできない](https://gyouseishoshi-gokaku.online/wp-content/uploads/2023/04/jikoushutoku-kanseigo-02.png)
![](https://gyouseishoshi-gokaku.online/wp-content/uploads/2023/03/su-tunyanko01.png)
これは、元の所有者Aを起点とした「時効取得者・占有者B」と「時効完成後の譲受人C」への二重譲渡類似の関係になるので、登記(対抗要件)が必要となってくるわけです。
02 相続・遺産分割と登記
不動産を「相続」した場合や「遺産分割」をした場合にも、物権変動は起こります。
この「相続や遺産分割と登記」について、わかりやすく解説します。
a.相続と登記
Aが死亡し、BとCが「Aの遺産である土地」を共同相続しました。
その土地のB・Cそれぞれの相続分は「1/2」ずつです。
ところが、Cが勝手に「単独で土地所有権を取得した登記」を入れてしまいました。
その上、Cは土地全部をDに売却してしまいました。さらに、Dはその登記を入れてしまいました。
ところが、Cが勝手に、単独で取得したとの登記を入れてしまいました。
そして、CはDに土地を売却しました。
![Aの相続が開始し、BCが1/2ずつ相続したが、CがDへ全部を売却し、Dは全部登記を備えた](https://gyouseishoshi-gokaku.online/wp-content/uploads/2023/04/souzoku-touki01.png)
この場合に、他の相続人Bとしては、Dに対して、自己の持ち分(1/2)を登記なくして主張することができます。
![Dはその登記を入れてしまいました。
この場合に、他の相続人Bとしては、Dに対して、自己の持ち分(1/2)を登記なくして主張することができます。](https://gyouseishoshi-gokaku.online/wp-content/uploads/2023/04/souzoku-touki02-1024x645.png)
![](https://gyouseishoshi-gokaku.online/wp-content/uploads/2023/03/su-tunyanko01.png)
Cは、自分の持分(1/2)以外は無権利者です。
その無権利者Cから土地を買い受けたDも、Cの持分(1/2)以外は無権利になります。
なので、Bは、登記がなくてもDに対し、持分1/2の返還を請求できるわけです。
b.遺産分割と登記
Aが死亡し、BとCが「Aの遺産である土地」を共同相続しました。
法定相続分は、BC共に、1/2ずつですが、BC間で遺産分割協議をし、Bひとりが単独所有することに決定しました。
ところがその後、Cは自分の法定相続分である持分1/2を、Dに売却してしまいました。
![Aが死亡し、BとCが持分1/2ずつ共同相続し、その後遺産分割協議の結果、Bの単独所有とすることに決定しました。](https://gyouseishoshi-gokaku.online/wp-content/uploads/2023/04/isanbunkatu-tandoku01-1024x624.png)
![](https://gyouseishoshi-gokaku.online/wp-content/uploads/2023/04/isanbunkatu-tandoku02.png)
そして、Dも登記してなければ、持分1/2の取得を、Bに対抗できません。
![遺産分割により相続分(1/2)と異なる権利を取得した相続人Bは、全部の所有権を取得したことを登記をしなければ、Dに対抗できません。](https://gyouseishoshi-gokaku.online/wp-content/uploads/2023/04/isanbunkatu-tandoku03-1024x589.jpg)
![](https://gyouseishoshi-gokaku.online/wp-content/uploads/2023/03/su-tunyanko01.png)
つまり、BとDは、先に登記したほうが勝ちです。
ここは、「解除と第三者」の関係と同じです。
『不動産物権変動/解除と登記』について、詳しく知りたい方はこちらのリンクからどうぞ▼
以上、
a.時効完成時の元の所有者
b.時効完成前の第三者
c.時効完成後の第三者
02 相続・遺産分割と登記
a.相続と登記
b.遺産分割と登記