相続Ⅰ-法定相続分と相続順位,代襲相続

相続1-法定相続分と相続順位,代襲相続 相続

今回の記事は、相続Ⅰとして、

01 相続人
 a.法定相続分と相続順位
   ①第1順位(子がいる場合)
   ②第2順位(子がいない場合)
   ③第3順位(子も直系尊属もいない場合)
02 代襲相続
 ①代襲相続-「子」の「子」(孫)
 ②代襲相続-「兄弟姉妹」の「子」
 ③再代襲相続-子の子の子(ひ孫)
   傍系血族は再代襲相続できない
・・・についてです。

01 相続人

相続とは-亡くなった人の財産法上の権利・義務(プラスの財産とマイナスの財産)を承継する

「相続」とは、人が死亡したときに、その亡くなった人の「プラスの財産」「マイナスの財産」つまり財産法上の権利・義務を、他の人が承継することをいいます。

そして、その「承継する資格を有している人」を『相続人』といいます。

a.法定相続分と相続順位

『相続人』は、法で定められています。
法で定められた相続人のことを「法定相続人」といいます。

そして、「法定相続人」には、

・法定相続分・・・どういう割合で相続できるのか、各々の法で定められた相続分
・相続順位・・・どういう順番で相続できるのか、各々の順位
・・・があります。
【法定相続分と相続順位(900条)】
相続人 法定相続分
①第1順位(子がいる場合)
「配偶者」と「子」
配偶者・・・1/2
子・・・1/2
②第2順位(子がいない場合)
「配偶者」と「直系尊属(例:父母,祖父母)」
配偶者・・・2/3
直系尊属・・・1/3
③第3順位(子も直系尊属もいない場合)
「配偶者」と「兄弟姉妹」
配偶者・・・3/4
兄弟姉妹・・・1/4

相続人の「順位」の全体像は、下記のようになります。

①第1順位(子がいる場合)

相続人 法定相続分
①第1順位(子がいる場合)
「配偶者」と「子」
配偶者・・・1/2
子・・・1/2

「配偶者」と「子」の法定相続分の解説図は、次のとおりです。

※今回の場合は、「子」が2人のケースです。

・配偶者・・・1/2=2/4
・子  ・・・1/2 「子」が2人いるので、1/2を2人で割るので→1/4
法定相続分-第1順位の相続人ケース/配偶者・・・1/2=2/4 子・・・1/2 「子」が2人いるので、1/2を2人で割るので→1/4
配偶者がいて、「子がいるケース」では、仮に父母(直系尊属)がいたとしても、父母(直系尊属)は、相続人とはなりません。

『第1順位』の相続人=「子(直系卑属)」がいる場合には、直系の上には上がっていかないわけです。

つまり、法律・民法の考え方としては、相続に関して、親より配偶者や子・孫(直系卑属)を優先させるということです。

②第2順位(子がいない場合)

相続人 法定相続分
②第2順位(子がいない場合)
「配偶者」と「直系尊属(例:父母,祖父母)」
配偶者・・・2/3
直系尊属・・・1/3


「子」がいないケースの、「配偶者」と「直系尊属」の法定相続分は次のとおりです。
→配偶者がいて、「子がいない」場合は、第2順位である「直系尊属」が相続人になります。

法定相続分-第2順位の相続人ケース/配偶者・・・2/3=4/6 直系尊属・・・1/3 「父母」2人なので、1/3を2人で割るので→1/6ずつ
配偶者は存在していて、直系卑属(例:子,孫)がいない場合には、直系尊属(例:父母,祖父母)に上がっていきます。

③第3順位(子も直系尊属もいない場合)

相続人 法定相続分
③第3順位(子も直系尊属もいない場合)
「配偶者」と「兄弟姉妹」
配偶者・・・3/4
兄弟姉妹・・・1/4

「子」も「直系尊属」もいないケースで、「配偶者」と「兄弟姉妹」の法定相続分は次のとおりです。

※今回の場合は、兄弟姉妹が2人のケースです。

法定相続分-第3順位の相続人ケース/配偶者・・・3/4=6/8 兄弟姉妹・・・1/4 「兄弟姉妹」2人なので、1/4を2人で割るので→1/8ずつ
配偶者が存在していて、直系卑属も直系尊属もいない場合に、はじめて、傍系血族である「兄弟姉妹」にまわってきます。

言い換えれば、子や孫等の直系卑属がいたり、父母等の直系尊属がいれば、「兄弟姉妹」には相続権はまわってきません。
ここまでの相続順位でわかるように、配偶者は、相続権に関し優先されています。
配偶者は、常に血族相続人と同順位で相続人となります。(890条)

この趣旨は、「夫婦財産の清算」や「被相続人の死亡後の扶養」にあります。

02 代襲相続

代襲相続とは、相続の開始前に、相続人である「子」や「兄弟姉妹」が死亡している場合や、相続開始時に相続権を失っていた場合に、その「相続人の直系卑属」が代わりに相続することをいいます。

【代襲相続人となることができる場合】
①「子」の「子」887条2項本文
②「兄弟姉妹」の「子」889条2項
③「子」の「子」の「子」はさらに代襲相続できる→再代襲相続といいます。

①代襲相続-「子」の「子」(孫)

代襲相続の1つ目のパターンとして、「子」の「子」が代襲相続できるケースです。

被相続人の「子」が既に死亡している場合には、その「子」の「子」が代襲相続できます。
※被相続人にとっての「孫」に当たる者です。
代襲相続-1 子の子

②代襲相続-「兄弟姉妹」の「子」

「兄弟姉妹」の「子」が代襲相続する場合についてです。

被相続人の「兄弟姉妹」が既に死亡している場合には、その「兄弟姉妹」の「子」が代襲相続できます。
※被相続人の甥・姪に当たる者です。
代襲相続-2 兄弟姉妹の子

③再代襲相続-子の子の子(ひ孫)

「子」の「子」の「子」が代襲相続できますが、これを「再代襲相続」といいます。

被相続人の「子」が既に死亡していて、さらにその「子」の「子」も死亡している場合には、さらに直系卑属が「再代襲相続」することができます。
※被相続人にとっての「ひ孫」に当たる者です。
再代襲相続-被相続人にとっての「ひ孫」

傍系血族は再代襲相続できない

前述したように、直系卑属(例:被相続人の子の子の子)は、「再代襲相続」できますが、
兄弟姉妹の子の子(傍系血族)は、「再代襲相続」はできません。

再代襲相続-直系卑属は再代襲相続できるが、傍系血族は再代襲相続は不可

以上、相続Ⅰとして、

01 相続人
 a.法定相続分と相続順位
   ①第1順位(子がいる場合)
   ②第2順位(子がいない場合)
   ③第3順位(子も直系尊属もいない場合)
02 代襲相続
 ①代襲相続-「子」の「子」(孫)
 ②代襲相続-「兄弟姉妹」の「子」
 ③再代襲相続-子の子の子(ひ孫)
   傍系血族は再代襲相続できない
・・・についてでした。お疲れ様でした。
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