「時効」については、3つのパートに分けて解説しています。
・時効Ⅰ-・取得時効
・時効Ⅲ-・時効の援用と放棄 ・時効の完成猶予と時効の更新
・時効Ⅲ-・時効の援用と放棄 ・時効の完成猶予と時効の更新
そして今回の記事は、『時効Ⅱ 消滅時効』についてです。
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01 消滅時効とは?
消滅時効とは、権利があるのに、その権利を行使しないまま一定の期間が過ぎてしまった場合に、その権利が消滅することをいいます。
つまり、「法は、権利があるからといって、いつまでも何もしようとしない者など保護してくれない」ということで『権利の上に眠る者を法は保護しない』ということです。
これを「消滅時効」といいます。
a.消滅時効の起算点・時効期間
消滅時効は、その権利を行使しないまま、一定の期間が過ぎてしまった場合に、権利が消滅するわけですが、では、その「一定の期間」は、どの時点から「起算する・カウントスタートする」かが問題となります。
さらに、「一定の期間」とは、どのぐらいの期間なのかも定められています。
消滅時効の起算点と時効期間,具体例をまとめた表が次のとおりです。
起算点 | 時効期間 | 具体例 | |
一般の債権 | 【主観的期間】 権利行使できることを知った時から |
5年 | ・貸金債権 ・過払い金返還請求権 |
【客観的期間】 権利を行使できる時から |
10年 | ||
債務不履行に基づく、 人の生命又は身体の障害による損害賠償請求権 |
【主観的期間】 権利行使できることを知った時から |
5年 | ・安全配慮義務違反による損害賠償請求権 ・医療事故による損害賠償請求権 |
【客観的期間】 権利を行使できる時から |
20年 | ||
不法行為に基づく、 人の生命又は身体を害する損害賠償請求権 |
【主観的期間】 被害者又は法定代理人が損害および加害者を知った時から |
5年 | ・交通事故でケガをした場合の損害賠償請求権 |
【客観的期間】 不法行為の時から |
20年 | ||
不法行為に基づく、 損害賠償請求権 |
【主観的期間】 被害者又は法定代理人が損害および加害者を知った時から |
3年 | ・交通事故で大破した自動車の損害賠償請求権 |
【客観的期間】 不法行為の時から |
20年 | ||
債権・所有権以外の財産権 | 権利を行使できる時から | 20年 | ・地上権 |
>>『民法/債権/不法行為/不法行為の効果/消滅時効』へ戻る
ちなみに、「所有権」は消滅時効にかかりません。
ただ、相手方の「取得時効」が成立して、結果的に所有権を失うことはありえます。
「取得時効」について、くわしく知りたい方はこちらのリンクからどうぞ▼
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b.消滅時効の起算点と履行遅滞の起算点 比較表まとめ
「消滅時効の起算点」と「履行遅滞の起算点」を比較しまとめた表が次のとおりです。
消滅時効の起算点 | 履行遅滞の起算点 | |
確定期限付きの債権 | 期限が到来した時 | 期限が到来した時 |
不確定期限付き債権 | 期限が到来した時 | ・期限到来後、履行の請求を受けた時 又は、 ・期限の到来を知った時 ・・・のいずれか早い時 |
期限の定めのない債権 | 債権が成立した時 | 履行の請求を受けた時 |
債務不履行による 損害賠償請求権 |
本来の債権の履行を請求できる時 | 履行の請求を受けた時 |
不法行為による 損害賠償請求権 |
・被害者又は法定代理人が損害および加害者を知った時 ・不法行為の時 |
不法行為時 |
返還時期の定めのない 消費貸借 |
消費貸借契約の時から相当期間経過後 | 貸主が返還を催告してから相当期間経過後 |
以上、消滅時効に関する、
00 時効とは?
01 消滅時効とは?
a.消滅時効の起算点・時効期間
b.消滅時効の起算点と履行遅滞の起算点 比較表まとめ
01 消滅時効とは?
a.消滅時効の起算点・時効期間
b.消滅時効の起算点と履行遅滞の起算点 比較表まとめ
・・・でした。お疲れ様でした。
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