今回の記事は、憲法>統治>国会に関する、
02 国会の地位
(1)国民の代表機関
(2)国権の最高機関
(3)唯一の立法機関
03 二院制(両院制)
(1)衆議院と参議院
兼職の禁止
(2)衆議院の優越
法律案の議決のながれ
予算案の議決のながれ
条約の承認/内閣総理大臣の指名の議決のながれ
国会の議決まとめ
01 権力分立
権力分立とは、国家権力をその性質に応じて3つの異なる機関に担当させ、そうすることによって、権力を分散させ、相互に抑制し合うことでバランスを保たせる仕組みのことです。
【3つの異なる機関】
・内閣(行政権)
・裁判所(司法権)
02 国会の地位
憲法は、「国会」に対して、
(2)国権の最高機関
(3)唯一の立法機関
・・・という3つの地位を付与しています。
(1)国民の代表機関
憲法43条(両議院の組織)
1項 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
2項 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。
国会は、全国民を代表する選挙された議員で組織されます。
なので、国会は、国民の代表機関であるといえます。
(2)国権の最高機関
憲法41条(国会の地位、立法権)
国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。
国会は、国権の最高機関であるとされています。
ここでいう「最高機関」とは、国会が他の機関に優先する権力を持つという意味ではありません。
国会議員は、「主権者である国民」により直接選挙され、国民と直結していることから、国会が政治の中心的地位を占める機関であることを強調したに過ぎないと考えられています。
(※これを、政治的美称説といいます。)
(3)唯一の立法機関
国会は、国の唯一の立法機関であるとされ、国会が立法権を独占しています。
【唯一の立法機関の意味】
意味 | 例外 | |
国会中心立法の原則 | 国会だけが立法できるという原則 | ①議員規則 ②最高裁判所規則 |
国会単独立法の原則 | 国会だけ(国会単独)で、立法できるという原則 | ①地方自治特別法についての住民投票 |
03 二院制(両院制)
国会は、国の政治の中心であり、慎重な議論を重ねる必要があるので、衆議院と参議院の2つの院で構成されています。
このような二院制(両院制)が採用されている理由は、「衆議院の誤りや軽率な行為を参議院でチェックするため」「選挙区や任期の違う2つの院を設けることで、その場所・その時における国民の民意を忠実に反映するため」です。
(1)衆議院と参議院
憲法45条(衆議院議員の任期)
衆議院議員の任期は、4年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。
憲法46条(参議院議員の任期)
参議院議員の任期は、6年とし、3年ごとに議員の半数を改選する。
兼職の禁止
せっかく憲法が、二院制を採用しているのだから、その趣旨を害しないためにも、何人も同時に両議院の議員となることはできません。
(2)衆議院の優越
国会の議決は、衆議院と参議院の両方で可決されなければなりませんが、重要事項について意見が一致しない場合は、国の政治が止まってしまうおそれがあります。
そこで、憲法では『衆議院の優越』を採用しています。
【衆議院の優越】
衆議院が優越する事項 | 衆議院のみが、なしうる事項 | 両議院が対等 |
①法律案の議決(59条2項~4項) ②予算の議決(60条2項) ③条約の承認(61条) ④内閣総理大臣の指名(67条) |
①予算の先議権(60条1項) ②内閣不信任決議権(69条) |
①皇室の財産授受についての議決 (8条) ②予備費の支出の承認(87条2項) ③決算の審査(90条1項) ④憲法改正の発議(96条1項) |
法律案の議決のながれ
憲法59条(法律案の議決、衆議院の優越)
1項 法律案は、この憲法に特別の定めのある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
2項 衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
3項 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
4項 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否定したものとみなすことができる。
59条をわかりやすく図解すると次のようになります。
※「法律案」は、衆議院の先議権はありません。
※上記の図は、衆議院から審議した場合の例となります。
予算案の議決のながれ
憲法60条(衆議院の予算先議と優越)
1項 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
2項 予算について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないときは、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
60条をわかりやすく図解すると次のようになります。
※「予算案」は、衆議院の先議権があります。
条約の承認/内閣総理大臣の指名の議決のながれ
憲法61条(条約の国会承認と衆議院の優越)
条約の締結に必要な国会の承認については、前条第2項の規定を準用する。
2項 条約について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないときは、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
2項 内閣総理大臣の指名について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないときは、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて10日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
61条条約についてと、内閣総理大臣の指名の議決のながれをわかりやすく図解すると次のようになります。
※「条約承認」と「内閣総理大臣の指名」は、衆議院の先議権はありません。
国会の議決まとめ
国会の議決をまとめると、次のようになります。
参議院の議決が なされない期間 |
両院協議会 | 参議院で異なる議決があった場合 | |
法律案 | 60日間 | 任意的 | 衆議院で出席議員の3分の2以上で再可決すると成立する |
予算 | 30日間 | 必要的 | 衆議院の議決が国会の議決となる |
条約 | |||
内閣総理大臣の指名 | 10日間 |
以上、統治>国会に関する、
02 国会の地位
(1)国民の代表機関
(2)国権の最高機関
(3)唯一の立法機関
03 二院制(両院制)
(1)衆議院と参議院
兼職の禁止
(2)衆議院の優越
法律案の議決のながれ
予算案の議決のながれ
条約の承認/内閣総理大臣の指名の議決のながれ
国会の議決まとめ