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民法では、法律行為を自分の代わりに契約をしてきてもらうというような「代理制度」があります。
この「代理」については、3つのパートに分けて解説しています。
・代理Ⅲ 表見代理
今回の記事は、代理Ⅱとして、
02 無権代理
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01 代理行為の瑕疵
意思表示の瑕疵や意思の不存在など、意思表示の効力が影響を受ける場合には、「代理人基準」で考えます。
もっと簡単に言ってしまうと、代理人が詐欺や強迫された場合や、逆に代理人が詐欺や強迫をした場合などは、代理人を基準に見ていくということです。
ここから、さらにわかりやすくイラスト図解付き解説をしていきます。
a.代理行為の瑕疵-代理人の相手方に対する詐欺
【事例-代理人の相手方に対する詐欺】
代理人Bは、相手方Cを騙して土地を売りました。
これは、” 本人Aが詐欺をした ” と、とらえていきます。
そこで、相手方Cは、詐欺による意思表示として、取消しを主張できます。
(※たとえ、本人Aは、代理人Bの詐欺を知らなかったとしても、取消し可能です。)
本人は、そんな詐欺や強迫をするような人物を代理人として選んだ責任があるのニャ。
だから、本人が、代理人が詐欺や強迫した事実を知らなかったとしても、相手方を保護するニャ。
相手方は、詐欺・強迫による意思表示として、取消しすることができるニャ。
「詐欺による意思表示の取消し」についてくわしく知りたい方はこちらのリンクへどうぞ▼
b.代理行為の瑕疵-代理人が相手方に騙された場合
【事例-代理人が相手方に騙された場合】
【豆知識】代理人が制限行為能力者だった場合
代理人が制限行為能力者だった場合についてですが、
ただし、代理人がたとえ制限行為能力者だったとしても、「保護者の同意を得てない」という理由で、「代理行為」じたいを取り消すことはできません。
そんな「制限行為能力者である代理人」を選んだ本人の責任があるからです。
ところが、代理人であるBが、騙されて相手方と売買契約をしてしまいました。
理由としては、制限行為能力者が代理人として売買契約をしても、結局のところ、効果が帰属するのは本人であって、代理人である制限行為能力者自身には、なんの不利益もないからです。
この場合は、本人Aが詐欺による意思表示として、取消しできます。
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02 無権代理
無権代理とは、本人から依頼されてもいないのに、勝手に「本人の代理人」として相手方と法律行為をした場合のことをいいます。
このような「無権代理行為」をした人を、「無権代理人」といいます。
この場合には、
・「無権代理人」と契約してしまった相手方
・・・この両者の保護を考える必要が出てきます。
a.本人の保護
無権代理人に勝手に契約されてしまった本人の取り得る行動としては、
勝手にされた代理行為でしたが、案外と本人にとって有益なケースもありますので、本人は追認することができます。
本人が、事後に追認すると、契約時にさかのぼって本人に効果が帰属します。
【事例-無権代理に対し、本人が事後に追認するケース】
本人の追認によって、契約時にさかのぼって、本人に効果帰属します。
b.相手方の保護
無権代理の相手方には、次の3つの権利が認められます。
②取消権
③無権代理人の責任追及
催告権 | 相手方は本人に対して、相当の期間を定めて、期間内に追認するかどうかの催告をすることができます。 ※本人からの確答がなければ、追認を拒絶したものとみなされます。 |
【悪意でもOK】 相手方が悪意でも催告できます。 ※追認するかどうか、聞くぐらいは悪意でもいいじゃない |
取消権 | 本人が追認するまでは、相手方は契約を取り消すことができます。 | 【善意のみ】 相手方が善意の場合のみ可 |
無権代理人の 責任追及 |
相手方は、無権代理人に対し、以下の要件を満たせば「契約の履行」又は「損害賠償請求」が可能です。 ①無権代理人が代理権を証明できないとき ②本人が追認しなかったとき ③無権代理人が制限行為能力者ではないとき ④相手方が、取消権をまだ行使していないとき |
【善意無過失のみ】 相手方が、善意無過失の場合のみ可 |
【平成29年民法改正】 無権代理人が悪意だった場合
平成29年民法改正により、無権代理人が自己に代理権がないことを知っていた場合には、相手方が有過失(知らなかったことに過失があった)でも、無権代理人に対し、責任追及できるようになりました。
改正前 | 平成29年民法改正後 | |||
相手方は、無権代理人に対し、一定要件を満たせば、 ・「契約の履行」又は ・「損害賠償請求」 ・・・が可能 |
相手方が、 善意無過失の場合のみ |
→ | 無権代理人が、自身に代理権がないことを知っていた場合 | 相手方は、 有過失があっても、 ・契約の履行又は ・損害賠償請求 ・・・が可能 |
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c.無権代理と相続
無権代理行為と相続の関係についてです。
【無権代理行為と相続のパターン】
・単独で相続
・共同相続
Ⅱ.本人が無権代理人を相続した場合
Ⅲ.無権代理人と本人の双方を相続した場合
Ⅰ.無権代理人が本人を相続した場合-単独で相続
無権代理人が本人を単独で相続した場合は、有効となります。
ただし、本人Aが、生前に追認を拒絶していた場合には、無権代理行為は有効とはならないです。
Ⅰ.無権代理人が本人を相続した場合-共同相続
無権代理人が本人を他の相続人と共同で相続した場合は、他の共同相続人の全員が、無権代理行為を追認しない限り、有効とはなりません。
(※無権代理人の相続分に相当する部分でも、有効とはなりません。)
Ⅱ.本人が無権代理人を相続した場合
本人が無権代理人を相続した場合には、
(※無権代理人を相続したからといっても、本人が追認を強制されるのは酷だからです。)
・ただし、無権代理人の責任も承継しますので、無権代理人としての責任追及を受けます。
Ⅲ.無権代理人と本人の双方を相続した場合
無権代理人を相続した後に、本人の地位も相続した場合は、無権代理行為の追認を拒絶することができなくなります。
わかりやすく事例を使って解説します。
1⃣Bが無権代理行為をしました。
2⃣その後、無権代理人Bが亡くなり、本人Aとその妻Dが、無権代理人を相続しました。
3⃣その後、本人Aが亡くなり、妻Dは、「無権代理人Bと本人A」を相続することになりました。4⃣この場合に、Dは、無権代理行為の追認を拒絶することはできません。
2⃣その後、無権代理人Bが亡くなり、本人Aとその妻Dが、無権代理人を相続しました。
以上、
a.代理行為の瑕疵-代理人の相手方に対する詐欺
b.代理行為の瑕疵-代理人が相手方に騙された場合
【豆知識】代理人が制限行為能力者だった場合
02 無権代理
a.本人の保護
b.相手方の保護
【平成29年民法改正】無権代理人が悪意だった場合
c.無権代理と相続
Ⅰ.無権代理人が本人を相続した場合-単独で相続
Ⅰ.無権代理人が本人を相続した場合-共同相続
Ⅱ.本人が無権代理人を相続した場合
Ⅲ.無権代理人と本人の双方を相続した場合
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