債権の目的-債権と債務,債権の種類

債権の目的-債権と債務,債権の種類 債権の意義・目的

今回の記事は、「債権」についてです。

債権とは、特定の人が、別の ” 特定の人に対して一定の行為を請求することができる権利 ” のことで、簡単にいうと「人に対する権利」です。

この「債権」に関する、

01 債権と債務
 a.債権債務の発生
   契約で発生する債権債務(売買を例)
   契約以外で発生する債権債務(不法行為を例)
02 債権の種類
 a.特定物債権
   特定物の例-中古車
 b.不特定物債権(種類債権)
   不特定物の特定
・・・についてです。

01 債権と債務

債権とは、たとえば、AさんがBさんにお金を貸した場合に、「Aが、Bに対して返済を請求できる権利」などのように、「人に対する権利」のことです。

そして、債務とは、「Bは、Aに対して返済する義務」を負いますが、この「返済する義務」のことを債務といいます。

1⃣AがBに対して100万円を貸付け(BはAから100万円を借り入れ)しました。
すると、
・AにはBに対する「返済を請求する債権」が発生し、
・Bは、Aに対する「返済する義務を負う債務」が発生します。
債権と債務の発生イメージ図
【債権債務は、表裏一体の関係】
債権と債務は、背中合わせ・表裏一体の関係にあります。
債権債務は背中合わせ・表裏一体の関係

a.債権債務の発生

債権債務の発生は、上記の例でいうと、「金銭消費貸借契約」というように『①契約で発生する場合』がありますが、『②契約以外で発生する場合』もあります。

【債権債務の発生】
①契約で発生する場合
②契約以外で発生する場合
この2つの場合を、イラスト図解付きで解説します。

契約で発生する債権債務(売買を例)

例として、「売買契約」によって発生する債権債務について、解説します。

1⃣AとBは、Aの土地をBが1,000万円で購入するという「売買契約」をしました。

・AはBに対し『代金債権』が発生し、BはAに対し『代金支払い債務』を負うことになります
・BはAに対し『土地の引渡債権』が発生し、AはBに対し『引渡し債務』を負うことになります
売買契約によって発生する債権債務

契約以外で発生する債権債務(不法行為を例)

契約以外で発生する債権債務の例として、不法行為の場合を解説します。

1⃣AはBに対し、暴行を加えました。
・Aは、Bに対し『損害賠償債務』を負うことになります。
・Bは、Aに対し『損害賠償請求権』という「債権」が発生します。
契約以外で発生する債権債務(不法行為を例)

02 債権の種類

債権とは、” 人に対して一定の行為を請求することができる権利 ” のことですが、じゃあいったい「何を目的にして請求できる権利なのか?」は、契約の内容によって違ってきます。

「何を目的にして請求できる権利なのか?」つまり、債権の種類には、次の2つがあります。

a.特定物債権
b.不特定物債権(種類債権)

a.特定物債権

「特定物」とは、その物の個性に着目して引渡しの対象とされた物のことで、「特定物債権」とは、この「特定物」の引渡しを目的とする債権のことです。

「債権の目的」が特定物の引渡しであるときには、債務者は、その「債権の目的物の引渡し」をするまでは、善良な管理者の注意をもって、その物を保管しなければなりません。

【善管注意義務(400条)】
善良な管理者の注意をもって、その物を保管しなければならない
 
【特定物債権のおける債務者の義務】

◆目的物が滅失したときは、代わりの物が無いので、履行不能となる。
◆債務者は、目的物の引渡しをするまで善管注意義務を負う。
◆所有者は、契約成立時に移転する。

特定物は、世の中でたった1つの物なので、債務者には、引き渡すまで慎重に取り扱うという「善管注意義務」が課せられるわけです。

特定物の例-中古車

「特定物」の例としては、「中古車」がそれに当たります。

逆に、そのメーカーの同車種の「新車」なら、他に何台も存在しますが、「中古車」はその1台しか存在しません。
なので、「中古車」は「特定物」となります。

特定物債権(中古車の引渡し債権)

b.不特定物債権(種類債権)

「不特定物」とは、その物の個性に着目せず引渡しの対象とされた物のことで、種類と量を指定して取引するので、不特定物債権・種類債権といいます。

【不特定物債権(特定前)における債務者の義務】

◆目的物が滅失した場合には、債務者は代わりの物を調達して引渡す義務を負う。
◆債務者は、特定前には、善管注意義務を負わない。
◆所有権は、目的物が特定したときに移転する。
不特定物債権(種類債権)-種類と量を指定して取引する

不特定物の特定

不特定物債権(種類債権)の場合、その不特定物(種類物)が市場に存在する限り、債務者の調達義務がいつまでも続くことになります。

そこで、不特定物(種類物)であっても、どこかのタイミングで「これ!」と特定していくことになります。
不特定物(種類物)を「これ」と特定していってはじめて「引渡し」ができるようになります。

【不特定物(種類物)の特定の例】

Aは、Bに「◯◯ビールの、瓶ビールを1ダース」と注文しました。
そして、Bは、注文された1ダースのビールを、Aに配達しました。
これで、特定したことになります。
不特定物債権の特定-債務者が債権者の所まで持参する場合は、持参して提供したときに特定する

債務者が債権者の所まで持参する場合(持参債務)には、
『持参して提供したとき』に特定され、


債権者が債務者の所まで取りに行く場合(取り立て債務)には、
債務者が『目的物を準備・分離・通知したとき』に特定されます。

【特定の要件】
・債務者が物の給付をなすに必要な行為を完了したこと
・債務者が債権者の同意を得て給付すべき物を指定したこと

以上、債権の目的に関する、

01 債権と債務
 a.債権債務の発生
   契約で発生する債権債務(売買を例)
   契約以外で発生する債権債務(不法行為を例)
02 債権の種類
 a.特定物債権
   特定物の例-中古車
 b.不特定物債権(種類債権)
   不特定物の特定
・・・についてでした。お疲れ様でした。
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