担保物権とは、例えば、「家を担保にしてお金を借りた」というように、「権利や財産」を借金などの「保証」に当てることをいいます。
もう少しわかりやすく言い換えると、
・「家(財産)」を、「担保(保証)」にして、お金を借りた。
・・・ということです。
つまり、「お金の回収を確実にするための権利」のことです。
つまり、「お金の回収を確実にするための権利」のことです。
そして、民法に規定されている「担保物権」には、次のようなものがあります。
今回の記事は、この担保物権についての基礎的な事項を解説しています。
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01 担保物権の分類
担保物権には、
・留置権
・先取特権
・質権
・抵当権・根抵当権
・先取特権
・質権
・抵当権・根抵当権
・・・がありますが、これらの担保物権は、次の2つに分類されます。
法定担保物権 | 法律が規定する一定の要件を満たすと、当然に成立する担保物権です。 「法」で「定め」られた担保物権ということです。 →留置権,先取特権 |
約定担保物権 | 契約のよって成立する担保物権です。 契「約」で「定め」た担保物権ということです。 →質権,抵当権 |
02 担保物権の効力
担保物権には、次の3つの効力があります。
・優先弁済的効力
・留置的効力
・収益的効力
・留置的効力
・収益的効力
優先弁済的効力 | 債務の弁済を受けられないときに、「担保の目的物の価値」から、他の債権者たちより優先して弁済を受けることができる効力です。 例:家を担保にお金を貸していて、債務者が債務の弁済ができなくなったときに、家を競売にかけ、その競売代金から優先的に弁済を受けることができる。 |
留置的効力 | 債務が完済されるまで、担保権者が目的物を留置することができる効力です。 例:Aが高級時計の修理をBに依頼し、Bが修理を終え代金をAに請求したが、Aが修理代金を支払わなかった場合に、Bとしては、修理代金をもらうまでは、時計を自分の元に留置することができる。 |
収益的効力 | 担保権者が、担保の目的物を収益し、これを債務の弁済に当てることができる効力です。 例:AがBから金銭を借り入れ、その担保としてAの不動産に質権を設定した。Bは、その不動産を第三者に賃貸し、賃料を収益することができる。 |
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03 担保物権の性質
担保物権には、次の4つの共通した性質があります。
a.付従性
b.随伴性
c.不可分性
d.物上代位性
b.随伴性
c.不可分性
d.物上代位性
付従性 | 債権が発生しなければ、担保物権も発生せず、債権が消滅すれば、担保物権も消滅するという性質です。 例: ・住宅ローンを貸すからこそ、その不動産に抵当権を設定する ・借金を返済したら、抵当権も消滅する |
随伴性 | 被担保債権が移転すれば、担保物権もこれに伴って移転するという性質です。 例:Aが持つ債権が、Bに移転すれば、抵当権もBへ移転する |
不可分性 | 債権全額の弁済を受けるまで、目的物の全部について権利を行使することができるという性質です。 例:借金を半分返したからといって、抵当権は半分にはならない |
物上代位性 | 担保目的物の売却・賃貸・滅失・損傷によって、債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、担保権を行使することができるという性質です。 例:担保の目的物となっている建物が火事で消失し、火災保険金が入ってくれば、その火災保険金から優先的に回収することができる |
a.付従性
付従性は、債権が発生しなければ、担保物権も発生せず、債権が消滅すれば、担保物権も消滅するという性質です。
この「付従性」についてを、イラスト図解付きでわかりやすく解説します。
1⃣Xは家を購入するために、A銀行から住宅ローン融資を受け、その購入した家に抵当権を設定しました。ここで、
・住宅ローン融資金(被担保債権)→親ガメ
・抵当権→子ガメ
・・・と、見立てます。
・住宅ローン融資金(被担保債権)→親ガメ
・抵当権→子ガメ
・・・と、見立てます。
2⃣親ガメ(住宅ローン融資金/被担保債権)が発生したからこそ、子ガメ(抵当権)も発生することになりました。
イメージでいうと、親ガメの上に子ガメが乗っかっている状態です。
なので、親ガメがこけたら、子ガメもこけます。
イメージでいうと、親ガメの上に子ガメが乗っかっている状態です。
なので、親ガメがこけたら、子ガメもこけます。
3⃣親ガメ(被担保債権)が消滅すれば、子ガメ(担保物権)も消滅するというのが、担保物権の付従性となります。
b.随伴性
随伴性は、被担保債権が移転すれば、担保物権もこれに伴って移転するという性質です。
この「随伴性」についてを、イラスト図解付きでわかりやすく解説します。
1⃣A銀行は、Xに対して有していた「被担保債権(住宅ローン融資)」を、B銀行に債権譲渡しました。
2⃣親ガメ(被担保債権)が移転すると、子ガメ(抵当権)もいっしょにくっついてきます。
3⃣親ガメ(被担保債権)が移動すれば、子ガメ(担保物権)も移動するというのが、担保物権の随伴性となります。
c.不可分性
不可分性は、債権全額の弁済を受けるまで、目的物の全部について権利を行使することができるという性質です。
この「不可分性」についてのイメージとしては、こんな感じです▼
d.物上代位性
物上代位性は、担保目的物の売却・賃貸・滅失・損傷によって、債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、担保権を行使することができるという性質です。
この「物上代位性」についてを、イラスト図解付きでわかりやすく解説します。
1⃣担保物権(抵当権)の目的物である建物が、火事で消失してしまいました。
2⃣債務者が受け取ることができる建物の火災保険金から、優先的に回収することができます。
これを、物上代位といいます。
これを、物上代位といいます。
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04 担保物権のまとめ表
担保物権の効力と性質をまとめた表が次のとおりです。
留置権 | 先取特権 | 質権 | 抵当権 | |
優先弁済的効力 | ✖ | ◯ | ◯ | ◯ |
留置的効力 | ◯ | ✖ | ◯ | ✖ |
収益的効力 | ✖ | ✖ | 不動産質権のみ◯ | ✖ |
付従性 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
随伴性 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
不可分性 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
物上代位性 | ✖ | ◯ | ◯ | ◯ |
以上、担保物権についての、
01 担保物権の分類
02 担保物権の効力
03 担保物権の性質
a.付従性
b.随伴性
c.不可分性
d.物上代位性
04 担保物権のまとめ表
02 担保物権の効力
03 担保物権の性質
a.付従性
b.随伴性
c.不可分性
d.物上代位性
04 担保物権のまとめ表
・・・でした。お疲れ様でした。
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