制限行為能力者-Ⅱ 成年被後見人

制限行為能力者-成年被後見人 能力

成年被後見人とは、

①精神上の障害により、事理弁識能力・判断能力に欠ける常況にあり、
②家庭裁判所で「後見開始の審判」を受けた者
・・・のことです。
成人であったとしても、病気やケガにより、判断能力が衰えることがあります。

このような方を保護するために、行為能力に制限を加えることで、「制限行為能力者」を保護する制度が「制限行為能力者制度」です。
【4つの制限行為能力者制度】
・未成年者
・成年被後見人
・被保佐人
・被補助人
今回の記事は、この中の「成年被後見人制度」についての記事です。

01 成年被後見人の法律行為

成年被後見人は、日用品の購入などは単独でできる法律行為

成年被後見人には、「成年後見人」という保護者がつけられます。

そして、成年被後見人は、ほとんどの法律行為を単独で行うことはできません。
未成年者の場合と違って、たとえ成年後見人の同意があったとしても、取り消すことができます。
(※そもそも、成年後見人に同意権じたいが無いのです。)

成年被後見人が唯一の例外として単独でできる法律行為は、

日用品の購入など、日常生活に関する行為
・・・です。この例外を除いて成年被後見人のした法律行為は、取り消すことができます。

日用品の購入なら、そんなに大きな金額ではないので、財産の流出の心配が少ないから単独で行えるわけです。

それに、こんな日常生活に関することまで単独でできないとなれば、かえって生活に支障をきたしますしネ。

02 成年後見人(法定代理人)の3つの権限

成年後見人(法定代理人)には、次の3つの権限があります。

代理権 成年被後見人に代わって法律行為をする権限です。
取消権 成年被後見人が単独でした法律行為に対し、取消しをする権限です。
追認権 成年被後見人が単独でした法律行為を有効なものとして、事後に認める権限です。

 

未成年者の法定代理人の場合と違って、「同意権」は無いのニャ

これは、仮に同意をしても、成年被後見人が理解できないことを想定しているのニャ

a.成年後見人(法定代理人)の取消権と追認権

成年後見人(法定代理人)の取消権のイメージ図はこんな感じです。

成年後見人の取消権

成年後見人(法定代理人)の追認権のイメージ図はこんな感じです。

成年後見人の追認権

03 制限行為能力者制度の比較まとめ表

4つの制限行為能力者制度についての比較まとめ表は、次のとおりです。

  未成年者 成年被後見人 被保佐人 被補助人
要件 ・年齢18歳未満の者 ・精神上の障害により事理弁識能力・判断能力に欠ける常況にある者 ・精神上の障害により事理弁識能力が著しく不十分である者 ・精神上の障害により事理弁識能力が不十分である者
家庭裁判所の審判が必要
保護者の名称 法定代理人
・親権者 or
・未成年後見人
成年後見人 保佐人 補助人
同意権                 △ ※1
代理権               △ ※1                 △ ※1
取消権                 △ ※2
追認権                 △ ※2

※1:「無い」のが原則ですが、家庭裁判所の審判で与えられます。
※2:「補助人の同意権」が与えられた場合のみ、補助人の「取消権・追認権」が認められます。

以上、成年被後見人についての、

01 成年被後見人の法律行為
02 成年後見人(法定代理人)の3つの権限
 a.成年後見人(法定代理人)の取消権と追認権
03 制限行為能力者制度の比較まとめ表
・・・でした。お疲れ様でした。
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