制限行為能力者の相手方の保護

制限行為能力者の相手方の保護 能力

今回の記事は、制限行為能力者の相手方についてです。
制限行為能力者は、行為能力者制度により保護され、法律行為を取り消すことができます。

一方、制限行為能力者と契約・法律行為をした相手方は、「いつ契約が取り消されるかもしれない」という不安定な立場に置かれます。

そこで、制限行為能力者の相手方にも保護する権利が設けられました。
それが「催告権」です。

この相手方の「催告権」についてわかりやすく解説します。

01 相手方の催告権

制限行為能力者の相手方には、

1ヶ月以上の期間を定めて「追認するかしないか」を催告する権利があります。

a.制限行為能力者本人への催告

制限行為能力者本人への催告では、

Ⅰ.未成年者・成年被後見人
Ⅱ.被保佐人・被補助人
・・・によって、効果が違ってきます。

Ⅰ.未成年者・成年被後見人

未成年者・成年被後見人本人に催告しても対抗できない

未成年者本人や成年被後見人本人に対し催告をしても、「催告」をもって対抗できません。
判断能力のない者に対して、いくら催告をしても、それを主張はできないのです。

Ⅱ.被保佐人・被補助人

被保佐人と被補助人への催告で確答なければ、取消しみなし

被保佐人本人や被補助人本人に対し催告をし、期間内に、確答(保佐人又は補助人からの追認を得た旨の通知)がなければ、取り消されたものとみなされます。

b.保護者への催告

保護者へ催告し、確答ない場合には追認みなし
【制限行為能力者の保護者】
・未成年者→法定代理人(親権者 or 未成年後見人)
・成年被後見人→成年後見人
・被保佐人→保佐人
・被補助人→補助人
相手方が、制限行為能力者の保護者に対し催告し、期間内に、追認するかどうかの確答を発しない場合には、追認したものとみなされます。

c.相手方の催告権比較まとめ表

相手方の催告が、誰に対してなされたものなのかによって比較しまとめた表が次のとおりです。

  行為能力者となった後 制限行為能力者の状態
催告の
相手方
本人 未成年者 本人
成年被後見人 本人
被保佐人 本人
被補助人 本人
法定代理人
成年後見人
保佐人
補助人
効果 期間内に、確答がなければ、追認したものとみなされます。
★追認みなし
催告したことを主張できません。
※意味がない
期間内に、保佐人or補助人の追認を得た旨の通知なければ、取り消されたものとみなされます。
※取消しみなし
期間内に、確答がなければ、追認したものとみなされます。
★追認みなし

02 制限行為能力者の詐術

相手方の保護の一つとして、いくら制限行為能力者であっても、たとえば未成年者が「成人です」と偽って相手方を騙して契約したのなら、そんな制限行為能力者を保護する必要はありません。

ということで、制限行為能力者が「行為能力者である」と信じさせるため、詐術を用いた場合には、制限行為能力者も保護者も、契約を取り消すことができなくなります。

制限行為能力者が「行為能力者である」と信じさせるため、詐術を用いた場合には、制限行為能力者自身も保護者も、取消権を行使できなくなります。

以上、制限行為能力者の相手方の保護に関する、

01 相手方の催告権
 a.制限行為能力者本人への催告
  Ⅰ.未成年者・成年被後見人
  Ⅱ.被保佐人・被補助人
 b.保護者への催告
 c.相手方の催告権比較まとめ表
02 制限行為能力者の詐術
・・・についてでした。お疲れ様でした。
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