親子Ⅱ-養子/養子縁組・普通養子と特別養子

親子Ⅱ-養子/養子縁組・普通養子と特別養子 親族

民法上、「親子」には、血縁関係のある「実子」と、血縁関係のない「養子」があります。
今回の記事は、「親子Ⅱ」として、「養子」についての記事です。

01 養子縁組
02 普通養子と特別養子
 a.普通養子
   ①形式的要件
   ②実質的要件
   ③配偶者のある者の縁組
   ④離縁
 b.特別養子

親子Ⅰとして「実子」について、くわしくは下記のリンクからどうぞ▼

01 養子縁組

養子縁組制度-養子は嫡出子となる

例えば、家庭的に恵まれない子に温かい家庭を与える場合や、代々続いてきた家系に後継ぎがいない場合に、「養子縁組制度」が活用されています。

「養子縁組」されると、「養子」は「養親」の『嫡出子』となります。

・嫡出子・・・婚姻関係にある男女間に生まれた「子」
・非嫡出子・・・婚姻関係にない男女間に生まれた「子」

02 普通養子と特別養子

「養子」には、次の2種類があります。

a.普通養子
b.特別養子

a.普通養子

①形式的要件

普通養子縁組は、戸籍法の定めるところにより、届け出ることによって成立します。
(799条,739条:創設的届出)

②実質的要件

養子縁組は、当事者間に『縁組をする意思』がない場合や、当事者が縁組の届出をしない場合には、縁組が無効となります。(802条)

例外として、15歳未満の者は、法定代理人を介入してのみ、縁組することができます。

つまり、15歳未満の者は、「法定代理人を介入する縁組」=『代諾縁組』によらなければ、養子縁組することができません。

【普通養子縁組の要件】

養親適格 20歳以上(※配偶者は無くても可)
養子適格 ①養親より年長でないこと
②養親の尊属ではないこと
裁判所の許可 ①未成年者を養子にする場合には、裁判所の許可が必要
(※自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、裁判所の許可不要)
②後見人が被後見人を養子とする場合には、裁判所の許可が必要
試験養育期間 なし
実親との関係 終了しない
普通養子縁組の要件ー養親適格/養親は20歳以上,養子適格/養子は養親より年長ではないこと・養子が尊属ではないこと
①未成年者を養子にするときは、裁判所の許可が必要 ②自己又は配偶者の直系卑属を養子とするときは裁判所の許可不要

③配偶者のある者の縁組

【配偶者のある者が「未成年者」を養子とする場合(795条)】

原則 配偶者と共同して、縁組しなければならない。
例外 ①配偶者の嫡出子を養子とする場合
→他方配偶者の同意は必要だが、その配偶者単独で養子とすることができる。
②配偶者がその意思を表示できない場合
→夫婦の一方だけで、縁組することができる。

【配偶者のある者が「成年者」を養子とする場合(796条)】

夫婦の一方は、単独で養子となる成年者と縁組することができます。

原則 他方配偶者の「相続権侵害に対する同意」は必要。
例外 夫婦共同縁組の場合又は他方配偶者の意思表示が不能な場合
→同意は不要

④離縁

縁組の当事者は、その協議で、「離縁」することができます。(811条1項)

養子が15歳未満での離縁は、「養親」と「養子の離縁後に法定代理人となるべき者」との協議で、しなければなりません。(811条2項)

【離縁の訴え】
離縁の当事者の一方は、
①悪意の遺棄
②3年以上の生死不明
③縁組を継続し難い重大な事由がある場合
・・・に限り、「離縁の訴え」を提起することができます。(814条1項)

「離縁」の請求者は、養子,実父母,検察官 で、養親は離縁を請求できません。

b.特別養子

「特別養子縁組制度」とは、一定の年齢に達しない子について特別の事情がある場合に、『子の利益』のために特に必要があると認められるときは、『家庭裁判所の審判』によって、養親子関係を創設し、実方との親族関係を終了させる「縁組制度」のことをいいます。

「特別養子」と「普通養子」の比較

  特別養子 普通養子
成立要件 ①養親となる者の請求
②家庭裁判所の審判
③子の利益のため特に必要があると認められるとき
①当事者間の合意
②届出
家裁の許可 「家庭裁判所の審判」によるので別途許可は不要 未成年者を養子とする場合は、原則として必要 ※1
養子の要件 【原則】
請求時に15歳未満かつ縁組成立時に18歳未満

【例外】
①15歳に達する前から養親となる者が引続き監護かつ
②やむを得ない事由により15歳までに請求がない場合
→15歳以上でも可
①養親より年長でないこと
②養親の尊属ではないこと




年齢 【原則】25歳以上
【例外】
夫婦いずれもが20歳以上で、かつ、そのいずれかは25歳以上
・20歳に達した者
(独身でもよい)
夫婦共同
縁組の要否
【原則】夫婦共同縁組
【例外】
「夫婦の一方」が「他の一方の嫡出子」の養親となる場合
・独身でもよい
・未成年者を養子とする場合は、原則、夫婦共同縁組
父母の同意 【原則】必要
【例外】※2
不要
試験養育期間 【原則】6ヶ月以上
【例外】請求前の監護の状況が明らかであるときは不要
不要
実親及びその親族
との関係
【原則】終了する
【例外】夫婦の一方が他方の嫡出子を養子とする場合には、実親及びその血族との親族関係は終了しない
継続




可否 【原則】不可
【例外】以下の①②の2つの要件を満たし、養子の利益のため特に必要があるときは、家裁の審判により可
①養親による虐待,悪意の遺棄,その他養子の利益を著しく害する事由があること
②実父母が相当の監護をすることができること
可能
請求者 養子,実父母,検察官 ※養親は離縁を請求できない 原則として、当事者双方
効果 養子と実父母及びその血族との間において、離縁の日から、特別養子縁組によって終了した親族関係と同一の親族関係が再び生ずる。 養親子関係の終了

※1 自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、裁判所の許可不要
※2 ①父母が意思表示できないとき 
   ②虐待,悪意の遺棄,その他養子となる者の利益を著しく害する事由があるときは、父母の同意は不要



以上、親子Ⅱとして「養子」について、

01 養子縁組
02 普通養子と特別養子
 a.普通養子
   ①形式的要件
   ②実質的要件
   ③配偶者のある者の縁組
   ④離縁
 b.特別養子
・・・でした。お疲れ様でした。
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