今回の記事は、3つの「能力」
02 意思能力
03 行為能力
・・・についてを、イラスト図解付きで、わかりやすく解説しています。
民法全体の位置づけとしては、次のようになります。
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01 権利能力
権利能力は、人が生まれてきた瞬間に認められる能力です。
「私権の享有は、出生に始まる(3条1項)」と規定され、生まれてきたときに権利能力を有しています。
胎児の権利能力
権利能力は、人が生まれてきた瞬間に認められますが、言い換えると、出生前の胎児には権利能力はまだ認められません。
ただし、例外として、次の3つの場合には、「生まれてきた場合に限り」遡って(さかのぼって)権利能力が認められます。
b.不法行為に基づく損害賠償請求(721条)
c.遺贈(965条)
胎児の権利能力-相続の場合
「胎児の権利能力」の例外として、「相続」についてを、事例をあげて解説します。
1⃣母Bが、胎児Cを妊娠中に、父Aが6月1日に亡くなりました。
(父Aが亡くなった時点では、胎児Cにはまだ権利能力はありません。)
2⃣胎児Cが、11月1日に無事、生まれました。
2⃣-1 胎児Cは、生まれてくるまでは、権利能力は認められません。
2⃣-2 胎児Cは、生まれると権利能力を取得し、父Aの相続に関して、父Aの相続開始日(父の死亡日)に遡って(さかのぼって)、権利能力が認められます。
この場合には、11月1日に胎児Cは出生し、出生すると、父Aの相続に関して、死亡日6月1日まで遡って(さかのぼって)、権利能力が認められ、父Aを相続することができます。
母は、胎児の代理をすることはできる?
まだ生まれていない胎児を妊娠中の母は、胎児を代理することは認められません。
たとえば、父Aが不法行為の被害に遭い亡くなったとします。
そして、母Bは、胎児Cの損害賠償請求権につき、胎児Cを代理して行使することはできません。
胎児Cは、生きて生まれてきてはじめて権利能力が認められるので、胎児の母が出生前に代理することはできないということです。
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02 意思能力
意思能力とは、自分のしたことの結果を判断できる能力のことです。
たとえば、自分のした契約がどういう契約なのかを、理解できる能力です。
逆に、この意思能力を有しない人のことを意思無能力者といいます。
意思能力を有するとされる年齢は、民法に規定がありませんが、8歳~10歳頃とされています。
そして、意思無能力者は、8歳~10歳に満たない人です。
また、たとえば、アルコールなどで泥酔状態の人も、一時的に意思無能力状態とされています。
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03 行為能力
行為能力とは、自ら単独で、契約などの法律行為を有効に行うことができる能力のことです。
制限行為能力者
たとえば、「権利能力」も「意思能力」もある12歳の子が、100万円相当の物を1万円で売ってしまったり、逆にそれほど価値のない物を高額で買ってしまったりというように、判断能力が十分でないことで、損をしてしまうこともあります。
そこで、「制限行為能力者制度」というルールが設けられました。
「制限行為能力者」とは、法律行為を行う場合に、有利かどうかの判断能力が十分でない者ということで、できる法律行為に制限を加えられます。
行為能力に制限を加えることで、「制限行為能力者」を保護する制度が、制限行為能力者制度です。
そして、具体的に制限行為能力者とは、
未成年者 | 18歳未満の者 ※平成30年民法改正 2022/4/1より成人年齢が18歳となりました |
成年被後見人 | ①判断能力を欠き、 ②家庭裁判所で「後見開始の審判」を受けた者 |
被保佐人 | ①判断能力が著しく不十分で、 ②家庭裁判所で「保佐開始の審判」を受けた者 |
被補助人 | ①判断能力が不十分で、 ②家庭裁判所で「補助開始の審判」を受けた者 |
未成年者
※平成30年民法改正 2022/4/1より成人年齢が18歳となりました
成年被後見人
成年被後見人とは、
②家庭裁判所で「後見開始の審判」を受けた者
・・・のことです。
被保佐人・被補助人
被保佐人とは、
②家庭裁判所で「保佐開始の審判」を受けた者
被補助人とは、
②家庭裁判所で「補助開始の審判」を受けた者
以上、
02 意思能力
03 行為能力
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