質権とは、債権の担保として、債務者又は第三者から受け取った物を手元に置く(占有する)ことで、債務の履行を促し、債権が弁済されなかった場合には、その物を競売にかけて、その売却代金から優先的に弁済を受けることができる権利です。
ここで「法定担保物権である留置権」との違いは、「留置権」の場合は、法律が規定する一定の要件を満たすと、当然に成立しますが、「質権」の場合は、あくまでも双方の「契約で成立」します。
つまり、「質権」は「約定担保物権」です。
今回の記事は、この「質権」についてをわかりやすく解説しています。
「質権」は約定担保物権ですが、似通っているもので、法定担保物権である「留置権」について、くわしく知りたい方は下記のリンクからどうぞ▼
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01 質権のイラスト図解
ここから、この「質権」について、事例を踏まえてイラスト図解付きでわかりやすく解説します。
さらに、もしBが期日を過ぎても100万円を返済しなかった場合には、Aは、腕時計を売却した代金から優先的に回収することができるという契約になっています。
そこで、質権者Aは、占有していたBの腕時計を売却することにしました。
このように、「質権」とは、
②占有することで、債務の履行を促し、
③債権が弁済されなかった場合には、その物を競売にかけ、
④その売却代金から優先的に弁済を受けることができる権利です。
そして、「質権」は約定担保物権(契約の上で成立つ物権)です。
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02 質権の種類
質権には、目的物じたいの種類に応じて、次の3つの種類があります。
b.不動産質
c.権利質
a.動産質
動産質とは、たとえば、時計などの「動産」を質権の目的物とすることです。
・占有の継続です。(352条)
・しかし、『質権に基づく返還請求』はできません。(353条)
動産質権者は継続して質物を占有しなければ、その質権を第三者に対抗できません。
それに、質物の占有を第三者に奪われてしまった場合には、「占有回収の訴え」によってのみ、その質物を回復することができます。
b.不動産質
不動産質とは、土地や建物などの「不動産」を質権の目的物とすることです。
・登記が対抗要件です。(177条)
不動産質権者は、登記さえ入れておけば、質物を占有してなくとも、その質権を第三者に対抗できます。あくまでも、登記が対抗要件です。
そして、動産質と違って、質物の占有を第三者に奪われてしまった場合にも登記さえあれば、「質権に基づく返還請求」も可能です。
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03 質権の効力
質権の効力としては、次の3つについてまとめました。
b.留置的効力
c.優先弁済的効力
a.被担保債権の範囲
質権は、設定行為に別段の定めがある場合を除き、
・債務不履行or質物の隠れた瑕疵によって生じた損害賠償
抵当権の被担保債権の範囲は制限されていることと比べて、被担保債権の範囲に制限がないのが特徴です。
b.留置的効力
質権者は、被担保債権の弁済を受けるまで、質物を留置することができます。
ただし、この留置的効力は、自己に対して優先権を有する債権者に対抗することはできません。
(347条但書)
c.優先弁済的効力
質権は、債権が弁済されなかった場合には、その物を競売にかけて、その売却代金から優先的に弁済を受けることができますが、それだけではなく、「果実」からも優先弁済を受けることができます。
ここでいう「果実」とは、たとえば、
・「賃貸アパート」が質権の目的物の場合には、その賃貸アパートの「家賃」
以上、質権に関する、
02 質権の種類
a.動産質
b.不動産質
03 質権の効力
a.被担保債権の範囲
b.留置的効力
c.優先弁済的効力
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